第二十二話「過去のコト」

とある洞穴の中…一同は、そこで雨宿りをしている。
チョコ「雨、止まないね…。」
チョコモンは、洞穴の外の空を見上げて、そう言う。
ゲンキ「そうだな~…。」
ゲンキも、同じように空を見上げ、そう言う。
グミ「…そ~いえばさ~、僕、ハーピーが言ってた、〔お兄さん達みたいに殺しあうがいい〕って言葉、ず~っと気になってるんだけど~、アレってどう言う事なのさ~?」
グミモンは、そう言ってライガーとギンギライガーのほうを見た。
アメ「あ~、オレも気になってたんだよな、ソレ。…ライガー、ギンギライガー。一体何があったんだ?」
アメモンがそう問いかけると、ライガーとギンギライガーは、目を伏せた。
サンダー「……グミモン、アメモン、変なコト言うなよ!ライガーにいちゃんとギンギにいちゃん、困っちゃってんじゃん!!」
サンダーは、怒ったようにそう言った。
グミ「でもさ~、な~んか気になるじゃ~ん。」
サンダー「…そりゃ……おれだって気にならないワケじゃ無いけど………でも、誰にでも言いたくないコトの3つや4つぐらい、あるだろ?」
グミモンの言葉に、サンダーはそう答える。
アメ「いや、それは多いだろ;…普通、1つや2つて言わないか?;」
アメモンは、そうツッコミを入れた。
ギンギライガー「…確かに、あまり言いたくないし、思い出したくもない事だ。…だが、いつかは言わなければならないと思っていた。…だから、今言おうと思う。」
ギンギライガーは、伏せていた目を上げて、そう言った。
グミ「言ってくれるの?ワ~イv」
サンダー「うるさい黙れ静かにしろ。」
両手を上げて嬉しそうにするグミモンを、サンダーは尻尾で一発軽く叩き、一息でそう言った。

ギンギライガー「…俺が昔、ワルモン四天王だったというのは、前に話したよな。」
ギンギライガーがそう言うと、サンダー達は頷いた。
グミ「それで~、ライガーが、ゲンキ達と一緒に、ワルモン退治の旅をしてたんだよね~?」
グミモンがそう言うと、ゲンキ達は頷いた。
ギンギライガー「……それである時、俺は兄さんと一対一で戦いたいと言って、兄さんを雪山に誘き出したんだ。」
アメ「誘き出した…って、もしかしてそれって…ワn…っ」
サンダー「黙って聞いてろ!」
アメモンの言葉を遮るように、サンダーはアメモンを尻尾で叩いて、そう言った。
ライガー「…サンダー、一々叩かなくても良い。質問ぐらいは自由にさせてやれ。」
サンダー「…は~い...。」
ライガーの言葉に、サンダーは少し悲しげに返事をした。
チョコ「…ゴメン、続き話して。」
チョコモンは、(サンダーと)アメモンが話を途切れさせてしまった事を軽く謝って言った。
ギンギライガー「ああ。…さっきのは、アメモンが言ったとおり罠で、一対一と言うのは嘘だったんだ。」
アメ「(やっぱり)。」
ギンギライガーの言葉を聞き、アメモンはこっそりと心の中でそう呟いた。
ライガー「最初は隠れていたんだが、俺とギンギライガーとで話を交わしているうちに数匹出てきて、ギンギライガーの誘いを断った所で戦闘になったな。」
ライガーは、その時の事を思い出しながら、そう言った。
チョコ「話を交わした…って、じゃあ何か話したの?」
チョコモンは、ちょっと驚いたようにそう聞いた。
ライガー「話をした、と言っても、サンダーとグレイのように、ではないがな。」
チョコモンの言葉に、ライガーはそう答えた。
グミ「そりゃ~ね~…正義と悪が対等に話すなんて~、普通出来ないもんね~。」
グミモンは、サンダーをからかうようにそう言った。
サンダー「うっさい黙れ!」
サンダーは、そう言ってグミモンを尻尾で叩いた。
ライガー「……それで、戦闘が始まった頃に、ゲンキ達が駆けつけてきてくれて、結果的に、俺とギンギライガーは一対一で戦えたんだ。」
ライガーは、そう語った。
アメ「へ~、で…どっちが勝っ…」
サンダー「ヤボな事聞くなよアメモン!」
サンダーは、アメモンの言葉を遮るように、アメモンを尻尾で叩いてそう言った。
ギンギライガー「…勝ったのは、兄さんだったよ。………そして、俺は一度ロストした。」
ギンギライガーは、アメモンの問いにそう答えた。
チョコ「ロスト…って確か、死ぬってのと同じ意味…だよね?」
チョコモンがそう言うと、一同は静かになった。
グミ「…あれ?でもさ~、ギンギライガーは、今ココで生きてるじゃんか~?」
グミモンは、キョトンとした顔でそう聞く。
サンダー「……お前バカか?…ロストした円盤石は、ヒノトリが復活した時に、全部もとの再生できる円盤石に戻ったんじゃんか。」
サンダーは、呆れ顔でそうツッコミを入れた。
グミ「………そ~だっけ?」
グミモンの言葉に、サンダーは大きなため息をついた。
アメ「…ところで、ヒノトリって何だっけ?」
アメモンは、軽く手を上げてそう言った。…すると、一同は一瞬固まった。
ニナ「そう言えば、私も詳しくは知らないのよね…。」
ニナは、アメモンの言葉を受けて、そう呟いた。
ゲンキ「え、そうなのか?」
ゲンキの言葉に、ニナは素直に頷く。
サンダー「…ヒノトリってのは、確か伝説の生物で、ワルモンをイイモンに戻し、ロストした円盤石を再び再生できるようにする……………とかなんとか。」
サンダーは、一生懸命思い出しながら、そう言った。
ニナ「うん、そう言う話は何度か聞いたんだけど……でも、外見がよく分からないのよ。」
ニナは、少し困ったようにそう言った。
サンダー「え……まぁ、“火の鳥”って言うくらいだから、炎をその身に纏ってる…とか?」
…そう言ってはみるものの、サンダーも自信が無いらしく、意見を求めるように、ライガーのほうを向いた。
ゲンキ「そうだな、火を纏ってるって言うよりは、炎そのものって感じだったけどな。」
ゲンキは、「そしてデッカイんだ!」とでも言いたげに、両手を大きく広げて言った。
サンダー「炎…そのもの……?」
サンダーは、違うとは分かっていながらも、タイムネットの世界に居た炎のモンスターを思い出していた。
確か、マッチのようなモンスターの最終進化系で、その姿はまさに炎そのもの。…名前は確か……カジボーボー、と……(これは実在するモンスターです;)。
ゲンキ「…まあでも、実際鳥だから…フェニックスとか不死鳥なんかと似たようなもんなのかもな。」
ゲンキは、苦笑してそう言った。
ニナ「ふ~ん、そっか…。」
ニナは、納得したようにそう呟いた。
グミ「…じゃ~さ~、ギンギライガーは、そのヒノトリのおかげで、再生できる円盤石に戻った後、ニナと会ったの~?」
グミモンが話を戻してそう問いかけると、ギンギライガーは頷いた。
チョコ「……でも、そういうことがあったって事は、サンダーとグレイの戦いに、それと似たような事を仕掛けてきたりするのかもね…。」
チョコモンが俯いてそう言うと、一同も俯いて考え込んだ。
サンダー「でもさ、要は気持ちの持ちようでしょ?…大丈夫。きっと何とかなるさ。」
サンダーは、一同を励ますように、笑顔でそう言った。
ホリィ「……サンダー、本当に大丈夫だと思うの?」
ホリィは、心配そうにそう問いかける。
サンダー「うん。…大体、負けるとすれば、多分おれのほうがその確率は高いから。」
サンダーは、笑顔でそう答える。
オルト「いやだからそれじゃダメなんだろうが;」
オルトは、即座にそうツッコミを入れる。すると、サンダーは苦笑して返す。
サンダー「まぁ……うまいコトいけば、何とか倒せるような気も…しなくはないけどね……。」
サンダーは、苦笑したままそう呟いた。


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